NHK サイエンスZERO「軽い!強い!燃えにくい!夢の新素材 新マグネシウム合金」
本日は、「押さえておきたいマグネシウム加工技術の動向と、国内外の取り組み事例」のイントロとして、昨日(20170828)
熊本大学河村先生と茨城マグネシウム工業会とのご縁は、古く、深く、強いものがあります。
初代副会長の大任を受け、白石事務局長と熊本に赴き、熊大マグネシウム研究会設立総会に出席、同研究会の展示会に、茨城マグネシウム工業会として交流出展し、以後、相互に茨城と熊本において、交流出展を重ねて参りました。熊本県の産業振興ご担当の皆様との熱い交流会の夕べは、私の忘れ得ぬ想い出の一つになっています。
NEDOの事業として、日本マグネシウム協会様より、マグネシウム疲労強度試験用の試験片を一括製作させて戴くことになったことを河村先生にご報告申し上げたとき、快く、初期の熊本マグネシウムの試作品をご提供いただき、いち早く切削加工を行い、その金属加工特性を把握させて戴きました。茨城マグネシウム工業会主催の第1回世界マグネシウム展に参考出展させていただきましたことは、私の生涯の誇りです。
番組では、「日本から、夢の新素材・マグネシウム合金が誕生した。燃えやすく、強度が不足しているという課題を克服。燃えにくいだけではなく、ジュラルミンよりも軽くて強度が高いと、産業界から注目を集める。」として、熊本大学河村能人先生が紹介され、「専門外だった研究者」が、「材料の選定や製造方法など、全く新しい方法で、課題を乗り越えた」とし、新マグネシウム合金誕生の秘密が明かされています。今や、「航空・自動車・医療など、さまざまな産業で実用化研究が加速している」として、その可能性に迫る内容となっています。お見逃しの方は、是非、再放送をご覧ください。
この中で特に印象に残ったことは、「何故、熊大マグネシウムは高強度なのか」という点です。
実は、先にご紹介いたしました、初期の熊大マグネシウムの試作品をご提供戴きました折、河村先生ご自身から、「強度強化メカニズムついては、私もよく解っていない」と、伺っていたからです。
その秘密が、今回、新マグネシウムの製造過程における「キンク変形」により引き起こされている事実が明らかにされました。
(このキンク変形による長周期積層構造を持つマグネシウムの強度強化メカニズムについては、別途、ご報告して参ります。)
前回のご報告の中で、2013年度から、10年にわたり研究開発がなされる国の「革新的新構造材等技術開発プロジェクト」をご紹介させて戴きました。
その基本計画の中で、「革新的マグネシウム材の開発」 が必要とされ、しかも、「資源供給不安の少ない組成 (レアアースフリー)により実現する」ことが求められています。この点は、マグネシウムの地球規模のリサイクルを考えるとき、大切な視点であることは論を待ちません。
熊大マグネシウムには、難燃性能を上げるためにレアメタルの一つであるイットリウムが添加されており、今後、更なる進化が求められています。
本日は、ここまでと致します。