「2030年を見据えた非鉄金属産業戦略」のポイント
本日は、「2030年を見据えた非鉄金属産業戦略の概要(以下、概要といいます)
概要では、冒頭、本戦略の目的として以下の通り、整理されています。
●「⾮鉄⾦属は鉄を除く⾦属素材として定義され、アルミニウム、銅、チタンなど多様な⾦属を含む。それら⾮鉄⾦属は、情報通信機器、電⼦機器、輸送⽤機器、建設資材、医療⽤器材、包装材、インフラなどの分野において、社会のあらゆる場⾯で使⽤されている」との認識のもとに、
●「⾮鉄⾦属産業は⽇本の産業全体を⽀える重要な位置を占める⼀⽅で、ユーザーニーズの⾼度化と多様化、海外事業者のキャッチアップ、エネルギーコストの上昇等を始めとする事業環境制約の⾼まりなど、⼤きな環境の変化に直⾯しており、世界市場において今後も競争優位性を維持し続けるためには、環境変化に対する認識、その変化に応じた戦略の策定が必要である」と結論しています。
●根拠として、「アルミニウム、伸銅、マグネシウム、電線、チタン、レアアース、シリコン、ファインセラミックスの8つの⾮鉄 ⾦属産業において、業界の現状・課題を整理し、その課題に対しての産業戦略を策定することを⽬的にする」として、「平成27年度⾮鉄⾦属産業の省エネルギー促進等による競争⼒向上に関する調査」を行った上で、
●2006(平成18)年度に発表された⾮鉄⾦属産業戦略の進捗状況をまとめ、2015 (平成27)年6⽉の⾦属素材競争⼒強化プランの⽅向性を踏まえ、将来の川下産業での需要動向を⾒据えた2030年における産業戦略仮説を各業界において、以下の構成で整理し、「非鉄金属産業戦略2016(以下、2016戦略といいます)
●⾮鉄⾦属産業戦略それぞれの位置づけ
●各産業共通の取組
●各産業のポイント
●個別産業の取組 (アルミニウム、伸銅、マグネシウム、電線、チタン、レアアース、シリコン、ファインセラミックス)
この2016戦略を一言でまとめれば、
「今後の⾮鉄⾦属産業において重要となる取り組みに関して、省エネの推進、リサイクルの推進、IoTの活⽤の3 分野を特定し、これらの取り組みによって、製品競争⼒の強化・製造コストの低減を強⼒に推進する。」ということになります。
前提になっている経産省の課題認識は、以下の3点です。
●エネルギーコストの上昇
→非鉄金属産業は、エネルギー多消費産業として、これらエネ ルギーコストは製品製造コストに転嫁され、事業収益に直結することから、省エネを⼀層推進する必要がある。
→他国の資源ナショナリズムの⾼まりなどにより原料調達リスクは引き続き存在。影響の緩和が必要。
●デジタル技術の普及
→インダストリー4.
●省エネの推進
→「投資回収効果が明確に⾒込める省エネ事業より導⼊が進められている⼀⽅、『オペレーション効率の改善』など効果が 不明確な事業においては、投資が⾏われにくい現状があるので、製造プロセスにおけるエネルギー消費量・オペレーション効率の可視化によって、省エネポテンシャルを把握し、⼀層の⽣産効率化を実施する」とし、
●リサイクルの推進
→「特にレアメタル資源に関して、経済性と両⽴したリサイクル技 術の開発・社会全体でのリサイクルフローの確⽴を引き続き進める」とし、同時に「静脈産業へのIoTの活⽤によって、リサイクルの効率化、サプライチェーン内のニーズの探知、新サービスの創出を⽬的として推進していく」としています。
そのためには、
●IoTの活用
→IoTの活用により、「取得されたデータを計算科学手法」によって、「材料設計期間の劇的な短縮や、製造プロセスの革新的な改善が行われる可能性が存在する」と期待し、「こうした計算科学手法が有効に活用される製品分野の特定を行い、実導入に向けた検討を進める」としています。
次回は、こうした視点でマグネシウム産業を俯瞰し、成長が見込まれる需要分野について、定量的なデータも確認しながらレポートを進めていきたいと思います。